松井秀､先発落ちのショックで引きこもる今季限り退団か

辛抱強く復調を待ってくれていたソーシア監督が､ついに決断した｡
エンゼルスの松井秀喜外野手(36)は､8日のタイガース戦で右投手が先発にもかかわらず先発から外れた｡
リーグ戦では初となる右腕先発でのスタメン落ちに､松井は激しく落胆｡
来季以降も指揮を執るソーシア監督は今後､若手の俊足外野手を多く起用する方針を明言し､1年契約の松井が来季も残留する可能性は大きく下がった｡

前夜の4番はさながら最後の晩餐か｡
クラブハウスに張り出されたスタメン表に､名前はなかった｡
普段は先発から外れても､快く報道陣に対応する松井だが､この日は違った｡
着替えを済ませると､報道陣のいるロッカールームを離れ､試合直前まで選手以外立ち入れない食堂に1時間余りこもった｡

いつもの左投手相手の先発落ちとは意味が違う｡
右投手が先発した試合でのスタメン落ちは6月12日のドジャース戦以来｡
それも､DH制が使えない交流戦でのことであって､リーグ戦では初だ｡

試合後､どうにか絞り出した声はか細かった｡

｢最近､結果を出してないから仕方ないですよね｣(スポーツ報知より)

認めたくない現実と､必死に向き合おうとした｡

｢打撃のバランスやタイミングの取り方にいくらか問題がある｡バットスピードが速かった昨年のように戻ってほしい｣(同)

ソーシア監督は決断の理由をそのように話した｡
打率は2割4分4厘に下がり､14本塁打と55打点は7月26日を最後に変わっていない｡

今季17試合では守備に就き､外野を守れることを示してきた｡
しかし､

｢外野手は層が厚いから(松井を)無理して使う必要はない｡スピードのある外野手を起用したかった｣(同)

監督は､3日にデビューしたばかりの23歳の俊足､ボアジャスを中堅に起用し続ける方針を示唆｡
現在､4試合出場停止処分を受けているハンターが復帰すれば右翼に入り､アブレイユは左翼に回る｡
松井はリベラとDHを争うが､リベラは先発出場した最近6試合で4試合マルチ安打と絶好調だ｡
今後も松井のスタメン起用はあるものの､状態が上がらなければ出場機会は自然と減る｡

状況は､極めて厳しい｡

｢ほかの選手も使いたいでしょうから…｡監督が(自分を)使いたくなる結果を出すしかない｡それしかない｣(同)

今季限り1年の契約が切れるまで､50試合も残っていない｡
このままシーズンオフ退団となってしまうのか｡
平静を装うメジャー8年目の男は､かつてない窮地に立たされている｡

(2010年8月10日)

その他のBASEBALLニュース