バカリズムのシュールな芸風が若者に受け入れられている心理的な理由とは!?

相変わらず高い視聴率をたたき出しているネタ番組で、お笑い芸人たちが芸を競い合っている日本。

そんななかで、活躍しているお笑い芸人の「笑いを生み出す構造」というものにある特徴があることを知っているだろうか?

それは、「お笑いタレントがそのキャラクターを愛され、共感もしくは感情移入、役割取得をしていること」で、笑いが成立しているケースだ。

つまり、ネタのシナリオ的な構造やメッセージの質よりも、お笑い芸人自体を好きになっているかどうかが支持率につながっていく。

従って、ひとりひとりの視聴者(観客)の中にポジショニングさえとれれば、何をやっても面白く、スベっても、飽きもせず繰り返しても面白い……となっていくわけだ。

この特徴を心理学的に考察していくと、現在のお笑い文化を支えている若者の心理とマッチしていることがわかる。

ちょっぴり難しい話になるが、マズローという心理学者を知っているだろうか?

「帰属の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求」を唱えたエラ〜い学者さんだ。

わかりやすく言うと「安全な社会集団の中で気易い仲間を集め、できるだけ好き勝手に行動し、且つ目立ち、褒められたい」という欲求のこと。

それが反映されているのがお笑いの世界であり、少し自分よりポジションの低いキャラクターを強く好み、笑いものにしたりする対象を芸人に投影しているのが今の芸人の位置づけに深く関係する。

バカキャラで社会性が無く、エキセントリックで、自意識過剰なお笑い芸人たち。

しかし、売れている芸人は、あくまでその皮をかぶっているだけで、現代人の共感の心理を鋭く見抜き、頭がよく、空気を読む極めて高い社会性を持ち、冷静で、相手に対する役割取得能力がとても高いのだ。

その代表格がバカリズムかもしれない。

バカリズムは、マセキ芸能社所属の芸人で、もともとはコンビ芸人だったのが、脱退によりピン芸人の芸人名になっている。

升野英知(ますのひでとも=32)は、福岡県田川市出身。

芸人としてだけでなく、俳優としても活動。元相方の脱退に伴い「升野=バカリズム」と図式が広まっているのが実情だ。

得意なネタは、テロップボードに自作の絵を書き、ひとつのオチをさまざまなバリエーションでループさせていく、 「トツギーノ」「カエリーノ」などがある。

このテロップ芸、もちろん今では割とさまざまな芸人がネタで行うことが多いが、バカリズムの場合は、自分を決して汚すことなく、視聴者目線にたったネタを行うことが多い。

つまり、若者世代からしたら、芸人というより、おもしろい友人という見方に近いのだろう、好き嫌いはあれど反発を持たれるようなことはほとんどない。

しかしながら、なかなかシュールなネタを連発するため、小島よしお(こじまよしお=27)やエド・はるみ(えどはるみ=44)のような華やかさとは縁遠い。

ただ、その絶妙なスタンスを取っているところから「流行りもの」で終わらず、息の長い芸人となっていく貫禄を、バカリズムは持っているといえる。

■バカリズムを見るには?

「アイドリング!!!」
フジテレビ721 17:00〜17:30
フジテレビ739 23:30〜24:00(再放送)

「原寸美術館37V版」(月曜)
フジテレビCS739 24:00〜24:30

「アイドリング!!!日記」(木曜)
CX 26:40〜27:10

「天才てれびくんMAXビットワールド」(金曜)
NHK教育 18:20〜18:55

(古田鉄寿)


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