根岸監督が快挙!! 「ヴィヨンの妻」で最優秀監督賞―モントリオール世界映画祭

カナダで開催されていた第33回モントリオール世界映画祭で、太宰治の短編を原作にした「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の根岸吉太郎監督(59)が監督賞を受賞した。配給元の東宝に8日、連絡が入った。

映画は、今年生誕100年を迎えた太宰の短編数本を原作に、小説家の夫の破滅的な生活にもかかわらず、明るさを失わない妻の姿を描いた作品。

戦後の混乱期に、酒飲みで多額の借金をこしらえ、浮気を繰り返す小説家・大谷を浅野忠信(35)が演じ、太谷を献身的かつ強く支える妻・佐知を松たか子(32)が演じる。

日本国内では来月10日に公開される。

東宝によると、現地の7日夜開かれた授賞式で根岸監督は「ありがとう」とフランス語で5回繰り返し「何度お礼を言っていいか分からない。映画が大好きな人々の映画祭で、この映画の第一歩を踏み出すことができた」と喜びを語った。

監督とともに現地入りしていた主演の浅野は、「この映画の撮影中に監督と一緒に過ごした時間はウソのない時間だった。そういう時間もすべてひっくるめて演出していただいたことで、自分でも完ぺきと思える芝居を引き出していただいた」と根岸監督の仕事ぶりを絶賛。

「監督には、おめでとうございますだけじゃ言い尽くせない。僕は勝手に自分のことのように思ってうれしいので、ありがとうございましたという気持ち」と感謝の意を示した。

浅野とダブル主演の松も根岸監督受賞の報を受け、コメントを発表。「本当にこだわって、徹底して『ヴィヨンの妻』の世界、太宰の世界を突き詰めていった監督の努力の結果だと思う。素晴らしい栄誉」と喜びをあらわにした。

根岸監督は東京都出身。立松和平さんの原作を映画化した「遠雷」で注目され、「探偵物語」「ウホッホ探検隊」「雪に願うこと」などの作品で知られる。

同映画祭は北米最大規模の映画祭で、06年に監督作「長い散歩」でグランプリを受賞した俳優・奥田瑛二が審査員を務める。昨年は「おくりびと」がグランプリを受賞し、今年の米アカデミー賞外国語映画賞の先鞭(せんべん)をつけた縁起のいい映画祭だ。(松野)


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