臨場
[第9話]
06/16放送

あと一週間で、小松崎刑事部長(伊武雅刀)がいよいよ定年を迎える。
そんなある日、倉石(内野聖陽)は小松崎の執務室に呼ばれる。「プライベートな話でもいいか?」と切り出した小松崎は、倉石に、差出人不明の年賀状を見せる。
この年賀状は、10年前から毎年のように小松崎宛て送られてきていたが、今年だけ届かなかったという。あて先は青梅市内から。筆跡は女性のものに見える。
「差出人が死んでしまったからではないか」という小松崎に、倉石は、「昨年、青梅市内での変死体はすべて男だった」と即答した。

倉石たちに臨場要請が入った。
青梅市内のアパートの一室で女子大生の変死体が発見されたのだ。20歳、一人暮らしをしていたらしい。女子大生は、腹部を自室の包丁で刺したまま死んでいた。
一見自殺のように見えたが、倉石は、腹部の傷口から別の凶器で指された跡を発見。何者かが被害者を刺し、自殺に見せかけた殺人事件と断定した。
僅かではあるが、クローゼットの金具にも血痕が付着していた。返り血をあびた犯人が被害者の服を着て逃走した可能性も出てくる。
ただ、不可思議なのは玄関の鍵がかかっていたこと。犯人は合鍵を持っていたとすれば、近親者の犯行か!?

さっそく、立原(高嶋政伸)らにより捜査が開始された。
女子大生の部屋の隣に住む夫婦に、「昨晩、変な物音はしなかったか?」と尋ねるが、「何も聞こえなかった」と答えた。
アパートの管理人に女子大生のことを尋ねるが、女子大生は引っ越して来てからまだ1ヶ月しか経っていないし、住み込みで管理しているわけではないから分からないと話した。

近くの介護施設に入居している明代(佐々木すみ江)という老女が、森の中で血痕の付いたナイフを拾っていた。刃幅などから、女子大生を殺害した凶器に間違いない。明代を介護する職員の話では、「ナイフを捨てた男を目撃した」と明代が言っていたらしい。
しかし、明代は認知症を患って立原たちが何を聞いても返事がかえってこない。一応、似顔絵を作成するが、その顔は、小さな男の子の顔だった。「やっぱりだめか」と肩を落とす立原。

立原は焦っていた。小松崎刑事部長が定年するまでに事件を解決したかったのだ。

被害者と仲が良くなかった義父の周辺を調べるが物証があがらない。
犯人は返り血を浴びており、それを隠すために被害者の衣服を着て外へ出たはずなのに、ドアには血痕がついていないことを不思議思っていた。犯人と揉み合ったときに倒れただろうゴミ箱の周辺には、彼女が爪を切った跡の爪が散らばっていた。「犯人が踏んだかもしれない」倉石、留美(松下由樹)、一ノ瀬(渡辺大)たちは、必死に散らばった爪の痕跡をたどっていた。

そんななか、明代が川で遺体となって発見された。溺死したようだが、溺死の見立ては非常に難しい。さすがの倉石でも、他殺、自殺、事故、が断定できなかった。

倉石は、明代の周辺を調べる。すると、彼女が暮らしていた施設の机の引き出しには母子で撮った昔の白黒写真とノートが入っていた。ノートを開いた倉石は目を見張る。そこには小松崎刑事部長の功績を称える記事や、昇進の情報などが、スクラップされていたのだ。小松崎刑事部長の名前の所には、赤鉛筆で目立つように線まで引いている。
それを見た倉石は、ある事実に気づいた…。

坂東(隆大介)たちの聞き込みで、明代が死亡した朝、死亡した女子大生が借りていたアパートの大家が、明代と一緒に森へと入っていくのを見たという目撃証言を得る。
早速、任意で事情を聞くと、大家は確かにその日、明代と一緒に森へ行ったという。正確にいえば、管理人が森に行ったところ明代とばったり会ったというのだ。明代の様子がおかしいかったので途中まで一緒に行動していたが、その後、別れたと管理人は説明した。

「女子大生が殺害された夜、アパートに行っただろう」と立原が聞くと、大家はアッサリと行ったことを認め、女子大生の隣の家で夫婦喧嘩があって、「うるさい」と、その上の階の住人から苦情があったから注意しようと思って出かけた、と管理人は説明した。「夫婦に注意しようと思って出かけたが奥さんのほうが家を出て行ったところだったので、事を荒立たせないよう、そのまま帰宅した」と管理人は続けた。

管理人の話を聞いた立原は、女子大生の隣に住む主人が気になって仕方なかった。
立原は倉石を訪ね、隣の主人が引っかかることを倉石に話した。しかし、物証がない。
立原はなんとしても、小松崎刑事部長の定年までにホシを挙げたかった。
立原の気持ちを酌んだ倉石は、留美、一ノ瀬と共に再び現場へと足を運ぶ…。

倉石は、女子大生と仲の良かった友人を殺害現場に呼んでいた。このアパートに遊びに来たことがその友人に、「クローゼットの中で無くなっている服がないか思い出してほしい」と倉石たちは頼んだ。
「わからない」帰りかけた女子大生の友人に必死でくらいつく倉石。
すると、その友人は“女子大生が着ていたバスローブ”が無いことに気づいた。殺害された女子大生は風呂から上がるとバスローブを着ていた、と友人は言うのだ。

小松崎刑事部長の定年が迫ったある日、倉石たちは立原を殺害現場のアパートへ呼び出した。
倉石は、
・犯人はバスローブを着てこの部屋から逃げたこと、
・犯人は玄関からは逃げていないこと、
・床に落ちていた彼女の爪が押入れの中から見つかったこと、
を、立石に話した。
それを聞いた立石が押入れの天井の板をどかすと、天井裏には隣室に通じる穴が開いていた。
隣の部屋の屋根裏からは、血の付いた衣服とバスローブの入ったビニール袋が発見された。

犯人は隣の主人だった。
「お前の見立てどおりだったな」倉石は立原に言葉をかけた…。

犯人は、女子大生が引っ越して来た時から彼女に目を付けていたのだ。夫婦ケンカをして妻が家を飛び出した夜、ムシャクシャした主人は天井をつたって女子大生の部屋に侵入し、ナイフで脅して暴行しようとしたが、思わぬ抵抗に遭って腹部を刺してしまったという。その後、女子大生の家にあった包丁を彼女の腹部に刺し直して自殺を装い、自分は、そばにあったバスローブを着て、再び、天井から自室に戻ったという…。

こうして、女子大生殺害事件は解決した。

定年の前日、小松崎刑事部長は亡くなった明代の施設を訪ねていた。明代は小松崎の実母だった。幼い頃、小松崎家へ養子に出されたのだった。小松崎は実母・明代のことを思い出せなかった。しかし施設を見て歩いているうちに、幼き頃の思い出が少しずつよみがえってくる。
〔周一…。周一…〕小松崎には、母の呼ぶ声が聞こえるような気がした。

「答えは森にある」倉石の言葉に誘われるように小松崎は森へ入る。
すると、倉石がやってきた。

「母は私が訪ねて来るのをずっと待っていた。しかし、まったく来ない。母は、生きる気力を失って自殺したのだ」小松崎の言葉に、倉石は「俺のとは違うな」と答えた。

「自慢の息子を持った親が自殺したケースは、今まで一度もありません」と。その言葉を聞いた小松崎は「早く遭いに来るべきだった」と言葉を詰まらせた。

小松崎刑事部長は多くの部下に見送られて、定年を迎えた――。

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05/06 第4話


04/29 第3話


04/22 第2話


04/15 第1話

キャスト
倉石義男 / 内野聖陽(うちのまさあき)
警視庁刑事部鑑識課の検死官。死体の目利きに関しては他の追随を許さないほどの鋭さを持ち、わずかな傷跡や証拠の矛盾も指摘する。口癖は、他人の見立てに対しての「俺のとは違うな」。組織にとらわれない豪放で破天荒な性格で、上司にも平気で楯つくため、上層部からは疎まれがちだが、一方で信奉者も多い。
趣味はガーデニングと家庭菜園。かつては結婚していたが、離婚してからは独身のままでいる。
小坂留美 / 松下由樹(まつしたゆき)
警視庁刑事部鑑識課の検視補助官。元は交通課で白バイ隊員として、真面目に働いていた。引き逃げ事件で倉石と知り合い、彼の犯人逮捕に導いた見事な見立てと、死者を身内のように悼むその仕事ぶりに惹かれ、倉石のもとで働きたいと志願の末、検視補助官へ。本気で検視官を目指しているため、一ノ瀬の態度が気に入らないでいる。
立原真澄 / 高嶋政伸(たかしままさのぶ)
警視庁刑事部捜査一課の管理官。捜査一課の精鋭チームを率いており、敏腕捜査官として過去に数々の難事件を解決している。倉石とは同期で互いに力を認め合っているはずだが、常に対立しており、典型的な倉石の存在を疎ましく思っている幹部の一人となっている。
小松崎周一 / 伊武雅刀(いぶまさとう)
警視庁刑事部刑事部長。倉石や立原の上司。厄介者ではあるが、確かな見立てをする倉石を買っており、倉石を移動させろという圧力にも屈服せずにいる懐の深い上司。
一ノ瀬和之 / 渡辺大(わたなべだい)
警視庁刑事部鑑識課の検視官心得。一流大学を卒業後、警察官になり、準キャリアとしては異例の早さで出世する。その後、捜査一課の立原管理官から“検死官心得はエリートコースだ”と勧められ、現在の部署へ。万事をそつなくこなし出世欲も強いため、この役職に長居するつもりもなく、その態度が小坂からは疎まれる。しかし、倉石と関わることによって、人間的な変化が徐々に生じていく。

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